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厚生労働省

「パワハラって言われた! 管理職の方」言い方ひとつで変わる会話術

【第3回】こんな場面のコミュニケーション-「フィードバック」

職場でのコミュニケーション、気持ちよくとれていますか?
必要以上に強く言い過ぎて後悔したり、言いたいことがあるのに言えずに残念な思いを抱いたり。「もう少しどうにかならないか」と思っている人は少なくありません。 発展的で協調的な“相互尊重”コミュニケーション力を高めて、難しいと思う場面にも、臆せず声を出してみましょう。

今回は、「相手にフィードバックする」場面での伝え方について考えてみます。部下や後輩に対してのフィードバックはもちろん、時には上司や先輩に対して、あるいはお客様や取引業者に対しても、フィードバックすることが求められます。適切でタイムリーなフィードバックは、自分自身の存在感を高める為にも、身に付けておきたい大切なスキルの1つです。

相互尊重コミュニケーションのフィードバックの原則は、「相手の言動、行動に対して事実ベースで具体的に」ということです。「相手の言動、行動」、すなわち、その相手が本気で変えようと思えば変えられることにのみフィードバックし、変えようと思っても変えられないことには言及しない-これが守るべきルールです。

「だらしないんだよ、お前は」と言われても直しようがありません。「会議に5分遅れると他の皆の時間を無駄にすることになるので、次の会議からは、開始時間の5分前には来て下さい」。こうしたらどうでしょう。性格やスタイルなど、本人の努力で直せないことを言うのはルール違反だと思います。具体的な行動についてのフィードバックであれば、受け入れることが可能になります。当たり前のことのようですが、職場では逆転現象を良く見かけます。言ってはいけないこと、言ってもしょうがないことをついつい言ってしまったり、言ってくれれば直せることなのに、曖昧に、あるいは遠回りに言われて却って傷つく。そんな経験はありませんか。

フィードバックすることを難しいものとしてしまっている理由の1つに、「相手から拒否されたらどうしよう」「受け入れられなかったら・・・」といった心配が挙げられます。フィードバックを受け入れるかどうかは、言われた相手が判断すること。無理に押し付けようとしなければ、肩の力を抜いて言えるはずです。事実ベースで、シンプルに、遠回りせずに、そして判断は相手に任せます。

フィードバックの基本を3つのポイントの頭文字をとって、「AIDの法則」としてご紹介しましょう。

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プラスのフィードバック(褒める)ももちろん大切ですが、更に大切で且つ難しいのが、マイナスのフィードバック(注意する・叱る)。言いにくいことを伝える時のポイントを確認しましょう。

  1. もう一度、自分が何を言いたいのか、そしてそれは何故なのか確認する
  2. 相手の、どの具体的行動について批判したいのか明確にする
  3. 適切な時と場所を選ぶ
  4. まわりくどい言い方や曖昧な言い方を避けて、直接的で具体的な言葉を使う
  5. 具体的行動に対してのみ批判して、その人の個性や性格といった個人的要素には踏み込まない
  6. 相手には自分の批判を受け入れるか受け入れないか、判断する自由をもっていることを認めておく
  7. 本気で、まじめに、誠意をもって伝える

仕事の上でのフィードバックですから、「あなたの為に」とか「君の性格を直してあげたいから」といった理由ではなく、「残業を減らす為に」「お客様満足度を下げないように」と、仕事直結の理由で話します。このほうが伝える側も言いやすいし、聞く側も素直に受け止められます。「僭越ですが」とか「気に障ったらごめん」などのエクスキューズの言葉も省いて、親身に、そしてストレートに伝えましょう。

著者プロフィール

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大串 亜由美
外資系大手コンピュータ株式会社にて14年勤務後、コンサルティング会社勤務を経て、株式会社グローバリンクを創立。「国際的規模での人材活用、人材育成」をキーワードに、マネジメント、自己主張など、ビジネスコミュニケーション全般の、企業・団体研修、各種コンサルティングを手がける。