あかるい職場応援団
厚生労働省

「社内でパワハラ発生! 人事担当の方」他の企業はどうしてる?

【第9回】
自社の風土に合わせた工夫で取組の定着を図る ―大手メディアグループのシステム保守、運用を事業とするA社

取組のポイント 所在地

東京都

  1. セクハラ対策の枠組みに合わせてルール作り
  2. 相談窓口の周知にはグループウェアを活用
  3. 定期的な研修による継続した意識づけ
業種

情報システム

従業員数

約150人

大手メディアグループのシステム保守、運用を事業とするA社。設立後数十年を経て現在の従業員は約150人。うち女性は20人程度。
ハラスメント防止には継続した活動が必要です。活動を継続するには、組織の規模や風土に合わせて取り組む必要があります。そうした工夫について、法務担当のH専任部長に伺いました。

対策はまずはルール作りから。

平成19年の改正男女雇用機会均等法の施行を機に、グループ全体でセクシュアルハラスメントの対策に取り組んだのですが、当社でもその年の暮れにはセクシュアルハラスメントに対する罰則規定を就業規則に盛り込み、会社としてセクハラは人権侵害でありセクハラは許さないとする姿勢を明確にした「セクシュアルハラスメントポリシー」も制定しました。
その後、社会全体でパワーハラスメントに対する関心が高まってきたことを受けて、平成23年にパワーハラスメントを含めて「ハラスメントポリシー」に改訂し、就業規則にもパワーハラスメントの項目を織り込みました。
また、現在作成中である小冊子のコンプライアンスハンドブック(社員が常に意識すべき当社が制定した行動規範なども盛り込む予定)にもハラスメントポリシーを盛り込み、近日中に社内に配布する予定です。
こうしたルールを先に制定したのは、社員の大半を占めるIT技術者は、基本ルールを重視する傾向が強いことを考慮したものです。
ルール作りに取り組み始めた当時、折しも内部統制の整備が叫ばれていた社会背景もあり、社内規定づくりに取り組む一環として、パワーハラスメント対策にも取り組んでいましたので、会社トップをはじめ割とすんなりと受け入れられました。

相談のしやすさを重視して窓口を多重化。周知にはITを活用。

ハラスメントに関する相談窓口として社内に男女各1名ずつ相談担当者を配置し、相談者研修を受講させると同時に、会社としての対応方法を定めた「ハラスメント相談対応マニュアル」を作成し、相談を受けた際の一連のプロセスを技術者にとってなじみのあるフローチャートにして迅速に対応できるようにしています。

また、社内窓口に相談しにくい案件にも対応できるよう、親会社にもグループ企業対象の相談窓口が設置されているほか、より複雑な問題を相談できる弁護士事務所や、心の悩みを相談できる窓口としてメンタルサポートを手掛ける会社とも契約をしており、社員が相談しやすい環境作りに努めています。
こうした多様な相談窓口の連絡先などの情報は、社内の共通ツールであるグループウェアに常時掲載しています。社員はグループウェアを毎日のように利用、閲覧しますので、当社内の情報共有として最も有効な方法と考えています。

ハラスメント相談対応マニュアル

継続的に意識の俎上に乗せる。

ハラスメントポリシーの制定の際には、全社員を対象として外部専門機関による社員研修を実施しました。昨年は管理職全員を対象とした研修を行い、仕事の都合でどうしても参加できない管理職には、講義形式のパワーポイントに教材をまとめ、それを視聴してもらう形で補講も行っています。この管理職研修には、一般社員も自由に参加できるようにしました。
ハラスメントの防止には、こうした研修を定期的に繰り返し、常に意識の向上を図ることが大切なので、年に1回は研修を実施することにしています。ただ、毎年同じ内容では社員も飽きてしまうので、社内独自の教材の作成も検討しています。社内でビデオを制作して、それをサーバーにおいて閲覧してもらう方法など、工夫をしていきたいと思います。

管理職の指導に自制が利くようになった。

相談窓口を設置してからこれまでに、役員・本部長で組織する対策委員会まで相談が上がってくるような案件は発生していません。
以前は当社でも、部下を怒鳴ったりするような場面も時々ありましたが、最近では部下に対して叱るときも、しっかり指導はしながら、怒りを自制するようになってきて、パワハラ予防の効果が出ていると実感しています。
今後も年に1回は研修を行うなど全社的に「啓発」をしていくことや、会社が常に「ハラスメントはダメ!」ということを言い続けることが大切だと思っています。

事例をお聞きして・・・

大手企業のグループ会社であっても、企業規模が小さい場合も多く、親会社並みに体制を作ることは難しいことが多いでしょう。今回のお話しを伺って、限られた人材や予算の中でも、自社の特徴や強みを活かして工夫することで、効果的な活動ができるということがわかりました。通り一遍のマニュアル通りの活動ではなく、自社に合った取組を見つけることの大切さに気付かされました。

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