あかるい職場応援団
厚生労働省

「社内でパワハラ発生! 人事担当の方」他の企業はどうしてる?

【第8回】
どうやって上機嫌な職場を作るか ― 国内外36社に及ぶグループ会社を統括するホールディングカンパニーであるY社

取組のポイント 所在地

東京都

  1. 自社制作のポスターや冊子で啓発
  2. 三行提報で活動を活性化。職場の実態把握も
  3. 「心の電話相談室」を設置
業種

機械製造

従業員数

約4,000人

国内外36社に及ぶグループ会社を統括するホールディングカンパニーであるY社。
ハラスメントは企業が抱えるリスクの一つととらえて、以前から地道に続けている取組について、担当の人材開発室長にお話しを伺いました。

昇格研修とポスターでの啓発

日常的な研修は各グループ会社で実施しているので、ホールディングカンパニーとしては、毎年昇格者に対して実施する集合研修の中で、昨年から「ハラスメント」としてセクハラ・パワハラを合わせた研修を折り込み、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の提言のポイントの説明やビデオを使ってのパワハラのない職場づくりに関する説明をしています。

しかし、昇格して何年も経った管理職や未昇格者に対してはこうした機会がないので、ホールディングスとして独自に制作したポスターを掲示し、冊子を配布することで、啓発に努めています。
今後は、さらに管理職層への定期的な研修に取り組んでいきたいと考えていますが、ハラスメントだけを取り出して行うのは難しいです。コンプライアンスの一部として取り組みたいと思います。

昇格研修とポスターでの啓発

「三行提報」という社内の仕組みで活性化

当社では元々、社員全員が毎日、様々な情報やアイディアなどを3行(127文字)にまとめて社長あてに提出するという制度があり、三行で会社を良くする「提 案」・「報告」をするという制度で「三行提報」といっています。その内容をデータベースで管理しています。そこで「パワハラ」や「セクハラ」など、ハラスメント関連のキーワードで検索して情報を抽出し、内容を活用しています。何しろ社員は毎日何かを書かなくてはなりませんので、社内外の情報にも敏感になり、ハラスメント関連の政府の動きなどを受けて、社内の活動に対する提案を受けることもあります。

中には実際のハラスメント事案に関する報告がある場合もあり、実態把握にも役立っています。
もちろん、社内相談窓口も設置していて、2名体制で電話やメール等で相談を受けています。
また、今年から「こころの電話相談室」として、週1回、外部の産業カウンセラーに会社に来てもらい、電話で相談を受けています。外部機関への委託だと、毎回相談担当者が変わってしまうことがあるので、個別契約で専用の担当者を置きました。
相談窓口やこころの電話相談室に寄せられた相談内容については、どの場合も、相談者の意思を確認して、了解があった場合に、会社に報告する体制をとっています。
このほか、ハラスメントの予防対策等を検討するため、男性3名、女性4名で構成するハラスメント対策委員会を設置しています。この委員会でポスターや冊子の制作、相談体制の検討や3行報告の分析を行っています。

コミュニケーションがスムーズならハラスメントは起きない

ハラスメント防止の取組を担当していて思うのは、コミュニケーションが良く取れている環境であればハラスメントは起きないということです。
ハラスメント防止の対策や問題が起こった時の対応をどうするか、ということも大切ですが、どうやって快適な職場環境―「上機嫌な」職場を作っていくかということがとても大切だと思います。たとえば、挨拶一つをとっても、メールが普及して、すぐ隣の人にも声をかけずにメールで話しかけたりすることがあります。顔を見て話したり、感情を表現したり、という人間関係が希薄になっています。こうしたところから、ハラスメントの問題が発生していくのではないでしょうか。常日頃から、お互いに腹を割って話をするなど、職場内の信頼関係を作り上げることが、一番大切なことだと思います。

事例をお聞きして・・・

すでに社内に定着している「三行提報」という仕組みをうまく活用して、活動の活性化とハラスメントの実態把握をされていました。新たな仕組みを定着させるためには、かなりの労力が必要ですので、こうした既存の仕組みを活用していく工夫が、成功の秘訣でしょう。

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