あかるい職場応援団
厚生労働省

社内でパワハラ発生! 人事担当の方他の企業はどうしてる?

【第34回】
コミュニケーションの活性化で働きやすい職場作り ―スーパーマーケットを初めとして食を中心に様々なサービスを提供するD社

取組のポイント 所在地

広島県

  1. 若手・中堅が経営に関して提案する制度
  2. 周知・啓発用の小冊子の配布
  3. 従業員の声を聞くための複数の仕組み
業種

小売販売業

従業員数

約4,200人

食品スーパーから施設管理まで、食から広がる豊かな暮らしの実現に向け、様々なサービスを提供しているD社。「従業員が気持ちよく働ける環境があってこそ商品が活きる」という考えで、働きやすい職場環境作りの一つとしてハラスメント防止に取り組んでいるという人事総務の担当者の方にお話を伺いました。

働きやすい職場環境作りはコミュニケーションの活性化から

弊社は「教学する組織」というスローガンのもと、年齢や役職に関係なく、お互いに教え合い、学び合い、情報を共有していくことで、成長できる組織を目指し、教育や職場環境改善に力を入れてきました。そのため、以前より人事担当者が各部門のスタッフから意見を聞いて、改善が必要な事項のとりまとめを行ってきました。
また、若手や中堅社員から選ばれた数名がプロジェクトチームを作って、会社の経営課題について検討し、経営陣に対して具体的な提案を行う制度もあります。任期は2年で、社内外の研修で学ぶとともに、経営課題に取り組み、提案するということで、社内コミュニケーションの活性化につながっています。
新入社員には約半年間、先輩社員がメンターとしてつき、職務上のスキルだけではなく、ビジネスマナーや会社の理念を伝え、個人的なことも含めて様々な相談に乗るようにしています。メンターに対しては人事担当者が情報提供やアドバイスをするなど、バックアップ体制も整えています。こうしたことも社内のコミュニケーションの活性化に貢献していると思われ、今年からはこの制度を拡大して、育児休業などの休業から復帰した人に対しても、経験者がアドバイスをするようにしました。
さらに、パートやアルバイトを正社員に登用する制度が2008年からスタートし、2010年からは「ジョブカード制度」を利用しています。この制度を利用することで、上長からのアドバイスが得られやすく、コミュニケーションが取りやすくなったと思います。

ハラスメントに対する基本理念

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ハラスメントに関する知識は小冊子で周知・徹底

ハラスメントの防止については、就業規則に定め、通達や研修を通して周知、啓発しています。
また、コンプライアンスに関する事項をまとめた手帳サイズの冊子を作成し、全従業員に配布しています。これは社内イントラネットにも掲載し、パートやアルバイトの人も見ることができます。
さらにハラスメントについてより理解を深めてもらうための冊子(右図)を作成し、5年ごとに改訂しており、各職場に配布するとともにイントラネットにも掲載しています。

ハラスメントに関する知識は小冊子で周知・徹底

管理職には定期的に研修を実施、社員は自由意志で受講

ハラスメントに関する研修は、毎年1回、外部講師を招いて管理職を対象に実施し、ハラスメントとはどういうものであるか、何が「いじめや嫌がらせ」と判断されるのかという具体的な内容を理解してもらうようにしています。

また、研修を実施するタイミングでコンプライアンスに関する通達も出し、これまでに発生した事例を簡潔にまとめて報告することで、気づきが得られるようしています。

研修を実施

社員全員を対象にしたオープン研修では、食品表示やコミュニケーション、ハラスメントなど多岐にわたる研修メニューを用意し、イントラネットに掲載して誰でも受講できるようにしています。昨年は45項目の研修を用意し、メンタルヘルスや傾聴などについても研修を実施しました。ハラスメントに特化した研修では、2012年に全社員を対象に産業カウンセラーによる研修を行いました。
研修メニューによっては、人事担当者から、資質向上のため特に受講してもらいたい人にメールで受講勧奨をするなど 、必要な人が必要な研修を受けられるような配慮もしています。

直接、従業員の声を聞く

アンケート調査

従業員の声を直接聞くために、人事担当者が毎年1回、すべての正社員と責任者クラスのパート従業員を対象に個人面談を行っています。人数が多いので半年くらいかかるのですが、日頃いえない思いを聞いてもらえたり、自身のキャリアの方向性が確認できることもあり、社員からは好評です。人事担当者としては、こうした機会を利用して、メンタルヘルスのフォローもしています。表情が暗かったり、口ごもったりということがあれば、職場の状況などを調べて問題を把握し、解決を図るように努力しています。これは時間もかかる大変な作業ですが、大切なことだと思っています。

また、自己申告制度もあり、毎年12月に自分のキャリア等について、将来の方向性や現状について申告してもらっています。これも職場の問題把握につながっています。

職場の問題把握という意味では、毎年、全従業員を対象にした無記名のアンケート調査も行っています。内容は企業理念から日常の業務に至るまで多岐にわたりますが、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの有無や職場の雰囲気などについても聞いています。自由記述欄もあり、意見や要望など自由に書くことができます。回収率は93%と非常に高く、従業員の状況を把握する上で大変参考になります。

相談窓口担当は産業カウンセラー

従業員相談窓口は人事総務の社員が担当していますが、産業カウンセラーの資格を持っています。相談は電話とメールで受け付けており、月に1~2件ほど相談があります。ハラスメントに関するものは年に数件程度です。あるパート従業員の一人が除け者にされているという相談では、よく話を聞いてみると、元々仲良くしていた人と最近話ができないでいるという内容で、関係者と話をして誤解を解き、解決しました。
相談窓口の利用は多くても年間30人程度で、従業員数から見ると、もっと利用されても良いのではないかと思います。面談やアンケートで問題を100%とらえられるわけではないので、表面化していない問題がまだまだあるのではないかと思っています。そういう意識を持ってこれからも情報収集をしていきたいと思います。

事例をお聞きして・・・

まずは、職場環境改善の取組みとして、全社員との面談など、手間暇をかけて丁寧に対応されていることに感銘を受けました。その上に、自己申告やアンケート調査、新入社員の育成のためのメンター制度、若手グループが経営に提言する仕組みなど、社内のコミュニケーションを円滑化するための様々な仕掛けが取り入れられていました。
コミュニケーションが活発な働きやすい職場ではハラスメントは起きにくいと言われますが、正にそれを実例で示しているような会社でした。

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