あかるい職場応援団
厚生労働省

社内でパワハラ発生! 人事担当の方他の企業はどうしてる?

【第21回】
労働組合という立場だからこそ自らの姿勢を正す ―全国組織の大手労働組合の本部

取組のポイント 所在地

東京都

  1. 自らの姿勢を正すために、まず指針を作成
  2. 解決の道筋をフロー図で提示
  3. パワハラ対策委員会の定期的な開催
業種

労働組合本部

従業員数

約50人

日本全国に組織を持つ大手労働組合であるR組合。組織は大きいが、本部は約50人という所帯。取組は始めたばかりとおっしゃる担当者の方に、本部での活動や今後の展開について伺いました。

働きやすい職場環境を作るための労働組合としての責務

近年、組合員のメンタルヘルス疾患が多くなってきており、関係機関に対策を講じるよう組合として働きかけを行っていました。その後、人事院からパワーハラスメントの言動例が発表されたり、厚生労働省がパワーハラスメントについての提言を発表するなどの動きがありましたので、都道府県レベルでも対策を講じるように求めてきました。そうした流れの中で自分たち自身も、パワーハラスメントに関してしっかりした認識を持つ必要があると考え、研修を実施し、指針を作成することになりました。
対策委員会を設置して1年がかりで議論を重ね、「パワーハラスメントの防止に関する指針」を作成しました。指針の周知徹底は、職員の理解を深めてからの方が良いということで、まず全員に研修を行い、アンケートを取った後で、指針を配布しました。
この指針の中で、苦情・相談があった場合の解決の道筋を「相談体制・処理フロー」図として、全職員に示しています。
こうした取組は、意思疎通が図りやすく働きやすい職場環境を作っていくことを使用者側に求めている「労働組合としての責務」だと思っています。

相談体制・処理フロー

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相談しやすい状況を作るために複数の窓口で対応

対策委員が相談窓口の担当を兼ねていますが、相談窓口担当者は、労組役員、事務職等いろいろな立場の代表という形で男性2名、女性4名という体制にしました。具体的な事例が発生した場合は、この中の2名が相談員として対応することになっています。また、毎月1回、産業医が来訪しますが、来訪日を全職員に通知して誰でも自由に相談できるようにしています。今後はケースによって、産業医との連携も必要と考えています。
さらに、狭い職場内では相談しにくいという場合も考慮して、第三者の外部相談機関とも契約しています。

小さい職場で相談しやすい環境をどう作るか…

担当者としてパワーハラスメント対策に取り組んで思うのは、現状の「相談窓口」が本当に一番相談しやすい窓口なのか、ということです。
パワーハラスメントという問題の性質上、職場の中でよほど信頼できる関係がないと相談できないものだと思います。多くの場合、まずは職場で身近にいる信頼できる人に相談するのだと思いますが、そういった実際の声を拾い上げるのはとても難しいです。相談窓口に相談して大げさにされたくないと思う人も多いでしょう。互いが知り合いの中で、相談窓口を作るということがすごく難しいと感じます。
これからは、そもそもそういった相談をしなければならない状況をいかに防ぐか、という予防の視点での取組が大事になると思っています。
そういう意味では、朝礼の時、「本日パワーハラスメント対策委員会があります。」という報告をするだけでも、抑止効果があると考えます。また、問題が大きくなる前に、「それは少し言い過ぎではないでしょうか」といったちょっとした一言が言えるような環境を作ることが重要だと思います。

全国のそれぞれの職場で

現場の組合員たちは日々忙しく、さまざまな課題に取り組んでいますが、職場の中にはどうしても立場上の優位が存在します。何か問題が起きた時には、職場のチームとして対応していくべきだと思いますが、ともすれば個人の問題になってしまいがちです。問題は人にあるのではなく、組織の構造にあります。もっと組織全体で問題解決に対応できるようにする必要があります。
非正規雇用者も増えている中、立場の弱い人たちがパワーハラスメントを受けることがないように、また、万一パワーハラスメントにあった場合でも気楽に相談できるような体制を整えていきたいと考えています。組合としては県単位で作成されている防止指針を市町村レベルにまで広げていくこと、それとともに自らの職場でパワハラを防止する取組を進めていかなければならないと考えています。

事例をお聞きして・・・

組織が小さいと、全体に目が行き届いて管理しやすいのではないかと思っていましたが、小さいが故に問題になることもあると、改めて認識しました。第三者機関などを活用して、明るく働きやすい職場を作っていただきたいものです。

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