あかるい職場応援団
厚生労働省

「社内でパワハラ発生! 人事担当の方」他の企業はどうしてる?

【第15回】
職場の信頼関係構築がハラスメント防止に繋がる ―専門性の高い職員が多いという医薬品製造のD社

取組のポイント 所在地

東京都

  1. コンプライアンスの一環としての対応
  2. 上司・部下それぞれの立場での研修
  3. 幅広い切り口での相談対応
業種

医薬品製造

従業員数

約600人

中途採用者も多く、様々な職歴を持った人が混在しているというD社。仕事の進め方や考え方の違いがハラスメントにつながる可能性があるとのこと。総務部長と総務の担当者にお話を伺いました。

セクハラとパワハラの垣根をはずして取り組み

社会の動きを受け、平成19年にセクハラ相談員制度を発足させました。その後「パワーハラスメント」という言葉が認知されるようになり、相談内容もセクシュアルハラスメントとパワーハラスメントの垣根がなくなってきたことから、翌年に名称を「ハラスメント相談員」とし、どんなハラスメントの相談も受け付けるようにしました。仕組みとしては、会社や従業員が遵守すべきコンプライアンスの基準及び行動規範、また推進のための制度を定めたコンプライアンス・プログラムに則り、ハラスメント防止規程や就業規則などの各種規程に、ハラスメントについての項目を折り込んでいます。
また、コンプライアンス・プログラムには社長のメッセージとして、ハラスメント防止を明記しています。

コミュニケーションに重点を置いた啓発活動

パワーハラスメントはコミュニケーションに問題があるために発生するという考えから、全社員を対象としてコミュニケーションをもっと円滑にするには、上司と部下それぞれの立場でどのような心構えが必要なのかという切り口で研修を行っています。多くの社員が受講できるように、数回に分けて研修を実施し、どうしても参加できない人には、研修を録画したビデオを視聴してもらい、全ての社員の受講を実現しています。
また、役員向けには独自のプログラムを用意し、一年おきに研修を行っています
さらに、コンプライアンス・プログラムで定められている行動規範を周知徹底するために、それを解説したコンプライアンス・プログラム・ハンドブックを全員に配布し、社内ポータルにも掲示しています。ハンドブックには、ハラスメント防止に関する項目も記載されています。

コンプライアンス・プログラム・ハンドブック

幅広い相談窓口を準備

平成14年にコンプライアンス全般についての相談窓口としてホットラインを設置し、現在では社員2名、社外の顧問弁護士2名の体制で相談を受けています。また、ハラスメントについての相談窓口として、相談員を各事業所に男女各2名ずつ配置しています。その後、ハラスメント相談員をコミュニケーション相談員に改定し、ハラスメントに限らず、社内のコミュニケーション全般の相談を受け付けることにしました。また、健康相談なども含めて幅広く相談できる窓口として外部のカウンセラーにも相談対応をお願いしています。外部への相談については、相談者の同意を得た場合のみ会社に報告が来るようになっています。
最近の傾向としては、社外の相談窓口に相談するケースが増えてきており、匿名で相談する傾向が強くなっています。

相談窓口

これらの窓口については「相談窓口の手引き」を社員に配布して周知しています。  相談対応ではできるだけ早く、しっかり対応することを心がけていますが、ハラスメントに気付くのが遅れて退職に至ってしまった場合もありました。担当として、どのタイミングで踏み込めばよいのか、指導なのかハラスメントなのか、という点に難しさを感じています。行為者自身がよかれと思って指導をしている場合、それがハラスメントであると理解し、納得してもらうのに苦労をすることがあります。

ハラスメントがハラスメントを呼ぶ?

ハラスメントの事例を見ていると、ハラスメントの連鎖があるように感じます。例えばハラスメントをしている上司は、さらにその上司から厳しい指導を受け、過度にプレッシャーを感じていたりするということです。お互いに理解し合うことでハラスメントの原因を絶たなければ根本的な解決にはなりません。
当社は規模が大きくはないので、人材も潤沢ではありません。社内での人材の流動性が低く、ずっと同じメンバーで仕事をしていると、ハラスメントが起きる可能性が高まるのかもしれません。また、そこに中途入社などで様々な職歴を持った人が入ることで、ハラスメントに発展することもあるようです。そういう意味では人材をある程度流動させることが必要だと考えています。
信頼関係がしっかりできていればハラスメントは起きないものだと思います。職場の信頼関係をどうやって築いていくかが今後の課題だと思っています。

事例をお聞きして・・・

規模がさほど大きくなく、個人の専門性も高い職種であるために、職場のメンバーが固定化しがちな中、ハラスメントが起きても相談しづらい環境とならないよう、早期発見、早期解決を目指し、より相談しやすい窓口を整備するとともに、予防の視点でコミュニケーション研修を重視しているとのことでした。担当者の粘り強い取組姿勢に、頼もしさを感じました。

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